黄土湯(おうどとう)

傷寒論・金匱要略条文

【金匱要略】
下血、先づ便して後ち血するは、此れ遠血なり、黄土湯之を主る。亦吐血衂血を主る。

諸家知見

方機
下血し、四肢不仁し或は冷えて痛む者。
下血し、手足煩熱し、心煩し、眠ることを得ざる者。
吐血、衂血もまた前症あれば則ち此の湯之を主る。

腹證
本方證は裏虚にして陰陽相半するものなれば腹部は軟弱無力にして心臓及び腹部大動脈は虚悸し(黄土)心下は痞満(黄ごんの證)すと雖も臍下は不仁にして力なく(地黄、附子)外表には煩熱、悪寒或は煩熱(地黄)と悪寒(附子)とが交互し四肢殊に手掌、足蹠には煩熱厥冷、或は煩熱と厥冷とが交代し尿利は減少して(地黄、朮、附子)瀉下し易く殆ど常に諸種の出血(地黄、阿膠、黄ごん、黄土)を現はすものにして概ね諸病の経過中或は出血持久の後ち此の證を致すものなれば一般に貧血衰弱の候あり脈も亦之に準じて多くは沈弱なるものとす。(或は嘔吐の證あり…私)

用方經験
婦人崩血止まず男子下血久々愈えず面色痿黄、掌中煩熱、爪甲乾色、脈數胸動或は微腫を見す者に効を得たり是れ禁血の剤なり謾投する勿れ。

類聚方廣義
吐血、下血、久々止まず心下痞、身熱悪寒、面青く體痩せ脈弱にして舌色刷白或は腹痛、下利或は微腫する者を治す臓毒、痔疾、膿血止まず腹痛濡瀉、小便不利、面色痿黄にして日に漸く羸瘠し或は微腫する者を治す。

勿誤方函口訣
此方は下血陰分に陥る者を収渋するの意なり、先便後血に拘はらず、脈緊を以て用ゆるが此方の目的なり。出血、衂血を治するも此の意にて用ゆべし。
又崩漏緊脈に効あり、又傷寒熱血分を侵し、暴かに下血する者、桃核承気湯・犀角地黄湯等を与えて血止まず、陰位に陥り危篤なる者、此方を与えて奇験を得たり。

医聖方格
下血及び諸血症、その人心中悪熱し、時に襟を解かんと欲し、舌反って和し、或は胎無くして乾き、但だ嗽がんと欲して嚥まんことを欲せず、四肢冷え、小便少く大便溏き者は、黄土湯之を主る。

矢数道明
吐血、下血、子宮出血、その他の出血で、体力栄養ともに衰え、貧血して皮膚は枯燥し、気の上逆、心煩、手掌煩熱、身熱悪寒、腹痛、小便不利、下利、あるいは微腫のあるもの。腹は軟弱、心下宿え、脈緊が目標。

小倉重成
下血及び各種の出血で、心胸部及び四肢の煩熱或は寒冷、顔面蒼白或は黄色、身体疲労、ときに虚熱が甚だしい。

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