厚朴三物湯(こうぼくさんもつとう)

傷寒論・金匱要略条文

【金匱・腹満寒疝宿食病篇】
痛で閉づる者は、厚朴三物湯之を主る。

【金匱・痰飲咳嗽病篇】
支飲胸満する者は、厚朴大黄湯之を主る。

諸家知見

為則
按ずるに、小承気湯証にして、腹満甚だし。

方機
腹満、心下痛で大便通ぜざる者(屡々経験する所なり)
心下満痛して水を吐出する者

医聖方格
腹満し、痛んで閉ざす者は、厚朴三物湯之を主る。

腹證奇覧
腹満して心下に支飲あり結實して大便硬或は秘閉して時々心下痛み或は水を吐くものは厚朴大黄湯の證とす枳実、胸脇間にある痰飲結實するものを治し厚朴、痞満を開き大黄、之に和して宿便硬便を利して腸胃を疏滌す小承気湯と薬味を同ふして但だ分量に差あるのみ厚朴大黄湯は厚朴を君とし枳実を臣とし大黄を佐とす故に胸満を治するを主として疏滌を主とせず小承気湯は大黄を主とし枳実を臣とし厚朴を佐とす故に大便硬若くは不通を利するを主として腹證は但だ腹微満心下硬を云ふのみ是れ古方の分量を詳にする所以なり。

険症百問
大便閉て吐水する者は厚朴三物湯を與へて治する者あり。

方與睨 
痛で閉づる者、此の條、腹満は略して唯だ其の主症を掲ぐるなり痛と云ひ閉と云ふ七物湯の症に比すれば一段急なるものなり且つ七物湯には甘草、大棗ありて方意稍や緩、此の湯は只三味にして直往勇進の勢あり。

類聚方廣義 
諸病、大承気湯を服する能はざる者は宜しく此の湯を以て消塊丸を送下すべし。 
 (湯本曰く諸病者、大承気湯證を有するに拘らず其の薬味を嫌ひ之を服する能はざるものには本方を以て消塊丸一銭を服せしむれば飲服し易きとの意なり。) 
痢疾、腹満甚しくして裏急後重する者を治す。

藤平健
腹満が特に強く便秘は比較的軽い。厚朴三物湯は腹満が主、小承気湯は便秘が主。

小倉重成
甚だしい腹満と腹痛と便秘。

おすすめします

漢方薬方の説明を読まれただけでは漢方的な考え方は十分には理解できません。
「症例から見た漢方」
「漢方の特質」「医界の爆弾」「皇漢医学」、なども是非一緒にお読みください。