諸家知見
正字通に曰く、盤は、物を盛る器にして或は木、或は錫銅にて為り、大小浅深方圓一ならず、難経五十一難に曰く、痞気胃?に在り、覆大盤の如しと、按ずるに旋杯は、覆杯の誤りとす、金匱の五臓風寒積聚篇に曰く、之を浮すれば大堅にして、之を按ずれば覆杯の如し、史の倉公傳に曰く、齋王云々、痺根は右脇下に在り、覆杯の如し、霊樞邪気臓腑病形篇に曰く、肥気は脇下に在り、覆杯の若し、難経五十六難に曰く、肥気は左脇下に在り、覆杯の如しと、以て旋杯は覆杯の誤なるを見るべし、且つ盤の如しと云い、覆杯の如しと云うは、心下堅大なること盤の如くにして其の形状中高く邊り低きを言う、之を按ずれば外堅しと雖も、内に物なきが如し故に覆杯の如しと曰う、是れ水飲たる所以なり。此の絛及び木防已湯の痞堅、十棗湯の痞鞭満、甘遂半夏湯の堅満、大陥胸湯の石鞭は、其の形状同じからずと雖も、均しく水飲に属す、但緩急劇易と、兼症の異るとを以て、主方各同じからざるのみ、又按ずるに五十六難の覆大盤の如しは、疑うらくは大なること覆盤の如しの誤ならん。
本絛は此の説によりて解すべきものなれども余の実験によれば本絛は肝脾二臓中の一つ腫大して心下に連及せしものの證治を述べしものなり然れども本方は此の症に単用せらるること稀にして大小柴胡湯に合用せらるる場合多し。
方極
心下堅満し、小便不利の者を治す。
方機
心下痞堅し、小便利せざる者。
或は心下満痛し、小便利せざる者(仲呂)。
醫統
産後浮腫にして気に属する者を治す。
叢桂亭醫事小言
心下に大結塊あり盤の如く覆杯の如し水飲の作す所なりと仲景の論じたるは酒客に多し、大抵嗜し酒を嫌い甚しきは臭も忌むもの、後に心下斯の如くになる是は元来酒にあたりて病むなれば中正湯などにて初めならば治すべきものなり仕舞いには水腫になりて死す、枳朮湯を用ゆれども甘遂丸を與えて一下して大柴胡湯或いは柴胡加芒硝の腹多し十に三四は治す。 (余曰く是れ肝臓硬変症の證治を述べしものなれども甘遂丸を與うるも枳朮湯を単用するも共に拙策にして本方を小大柴胡湯、柴胡加芒硝湯等に合用し或は甘遂半夏湯を兼用すべきものなり。)
聖剤発蘊
胸状平にして丸く心下堅大の形は杯をふせたる如くむっくりと堅く見へて廻りは軟弱なる者なり。尤も小腹に朮の毒ありて小便不利するなり。されども心下堅大が第一の目的なり。其肯綮に合すれば奇効駿速なり。本論にて心下の模様明白なり。意を付くべし。堅は猶心下痞堅の堅の如し。大は甚大の謂にて飲をもつを云なり。木防已湯及び人参湯の心下照し見るべし。
類聚方広義
此の条及び木防已湯の痞堅、十棗湯の痞鞭満、甘遂半夏湯の堅満、大陥胸湯の石鞭は、其の形状同じからずと雖も、均しく水飲に属す。但だ其の緩急劇易は、兼症の異を以て方の主ること同じからざるのみ。
古方便覧
心下堅大盤の如く、小便利せざるものを治す。
荒木性次
心下胃の部に大いなるしこりあり、又全身にむくみある者、小便の出は少なし、大便も少なき者多し、食欲は少なからず、心下のしこりは拳大のものもあり。或は大なる者もあり稍小なるものもありて不同なり。其のしこりは上から押して力あり痛みは余りなし。又しこりの形状は盃を伏せたるごとき者なり。
聚方大義
水気病の一症に水蟲と云うあり、惣身皮膚一面すすの如く黒くして腹中雷鳴するを目的とす。此の症皆難治なり。(肝硬変の腹水?)
医療手引草中編下
痞を治し食を消し胃を強くす。
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