漢方は、最近、かなり評価されてきましたが、それでもなお、漢方は非科学的だとか得体が知れないものだとかいわれる方がいます。まず、その点について述べておきたいと思います。
西洋医学の処方と漢方の薬方をくらべてみますと、西洋医学の処方は、例えば、高血圧に対してある種の降圧剤という風に、一つの病気に対して、通常、一つの成分が処方されます(ときには、二三の成分が処方されることもありますが)。ところが漢方の薬方は、一般的には、4〜10種類にのぼる生薬が組み合わされていて、その各生薬にはまた、それぞれたくさんの成分が含まれています。つまり、漢方の薬方は、非常にたくさんの成分から成る複合剤ということができます。そして、それらはあるいは相加的に、あるいは相乗的に作用したり、あるいはけん制しあってお互いの副作用を軽減したり、また煎じるという加熱処理によって、複雑に反応して新たな成分ができたりで、それらの成分が、人体に対し、どのように作用しているかなどということは、人体の複雑かつ精妙な働き自身十分解明されていないのですから、まだ、十分に解明されていないのは当然といえば当然です。しかし、まだ解明されていないということは、非科学的ということではありません。
リンゴが落ちるのを見てニュートンは万有引力の法則を発見しましたが、万有引力の法則が発見される以前から、熟すればリンゴは落ちるという「事実」は厳然と存在していたのです。
それと同様、漢方もその効果は何千年間にもわたり実証されてきています。しかし、その複雑さ故に充分解明されていないというだけのことで、非科学的だというのは正しくありません。そこで現状では、漢方は、非科学的というのではなく、「超科学的な薬効が期待できるもの」と定義しておきましょう。
そして、この非常に多くの成分を含む複合剤である漢方薬方は、その効果は複雑で、多方面にわたり、単に一局部の病状を改善するだけでなく、その病気を引き起こしている体全体のバランスを調え修復し、その病気の改善に総合的に作用する働きがあるといえます。
そしてこの漢方の「体全体のバランスを調え修復し、その病気の改善に総合的に作用する働き」が、いま問題となってきている「生活習慣病」、「成人病」、「ストレスによる心身症」、「アレルギー性疾患」などに非常にすぐれた効果を発揮し得るということにつながっているのです。
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