無限に広がる薬方ー加減方・合方

 私が合方(薬方と薬方を合わせて用いる)の妙に気がついたのは漢方を始めて5年ほど経った頃、湯本求眞先生が胸痺病(心臓病の一種で脇部の圧迫感や痛みを伴う疾患:この場合は狭心症)を大柴胡湯合桃核承気湯で治されていた症例をみたのがきっかけでした。
 詳しい症状は書かれていませんでしたが、最初のときは「ヘェー、胸痺病に大柴胡湯合桃核承気湯で治るものもあるんだ、頭にいれておこう」、と簡単に思っただけで素通りしていたのですが、二度目に読んだときに、なぜ胸痺病がこの大柴胡湯合桃核承気湯で治ったのだろうと疑問がわき、気になっていろいろ考えていたのですが、ある日その薬味を書き出して検討してみますと
大柴胡湯(柴胡、黄ごん、芍薬、枳実、半夏、大棗、生姜、大黄)と
桃核承気湯(桃仁、桂枝、甘草、芒硝、大黄)を合方しますと
胸痺病の「心中痞・諸逆・心懸痛」を治す桂枝生姜枳実湯(桂枝、生姜、枳実)が新たに出来ていることに気がついたのです。

 こういうことから、この視点で、先人たちのよく使用している加方(薬方に薬味を加える)や合方をよく見てみますと、
例えば一例をあげますと、
茯苓飲加半夏は新たに「胸中苦悶、吐さんと欲して吐せず、面浮腫状者」を治す生姜半夏湯(生姜、半夏)を作り出して作用を強めていますし、また、胸痺病にも使えることがわかります。

 おかげで大建中湯と附子粳米湯がよく合方して用いられている意味もわかってきました。
このような例はまだ沢山の加方や合方にみられます。

漢方の薬方を運用するときはその薬方の方意はもちろんですが、その中に含まれる別の薬方の方意や、加方や合方によって生じる新たな薬方の方意を十分検討してみる必要があることを痛感した次第です。

 すぐれた加減方や合方は漢方の運用を無限に広げているように思えます。
 用方の妙は用いる側にあるとつくづく実感させられました。

湯本求眞先生に感謝です。

 一例として「症例からみた漢方」に
「加減方?、合方?」をあげていますので宜しければお読みになって下さい。

この「漢方の特質」は漢方の本質を知っていただくための水先案内です。
本質につきましては「医界の爆弾」「皇漢医学」をご覧ください。