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生理がないといって、いつも駆け込んでくる婦人がいます。しばらく続けるとよいのですが、1週間分の桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を飲むと生理がついてしまうので、それでその場は飲みやめてしまうのです。
この婦人が、3日ほど前より血尿が出て、止まらないのでなんと止めて欲しいと飛びこんできました。 そこで今度もまた桃核承気湯に大薊(たいけい:野アザミのこと)5gを別包として一週間分差し上げました。これで血尿も無事とまってしまったのですが、また1週間で休薬です。
またある夏、今年の夏は水虫がひどいのでなんとかして欲しいとやってきました。見ると足の裏から内踝のところまでひどくあばけています。これにもまた桃核承気湯に三物黄 湯(さんもつおうごんとう)を一緒に飲むようにすすめました。
1ヶ月ほど飲んで症状もかなりおさまり、夏も盛りをすぎたのと相まってまた休薬してしまいました。
この婦人の月経閉止も、血尿も、水虫も、その根は一つで、すべて 血(おけつ:生理的活性を失った悪い血)に起因するものです。しかし、表面に出た症状がとれてしまうと休薬してしまいます。この婦人はまだ 血(おけつ)が完全にはとりきれていないのです。次は何と言って飛び込んでくるのやら、できることなら桃核承気湯に防風通聖散の併用を続服してくれればと思っていますが、「やんぬるかな」です。大病をしなければいいがと案じています。
(余談)大薊(たいけい:野アザミのこと)は数年前、山登りに行った際、採集したものです。これを乾燥して刻んだのですが、とげがあって大変でした。血止めによく効を発揮します。小薊(しょうけい:山あざみ)にも同じような効果があります。
しかし、冷え性の人の出血には艾葉(ヨモギの葉)の方が向いています。また艾葉には子宮を温め働きを活発にする作用もあります。
2003/06/02追記
約一ヶ月前のことです。ごのご婦人が通じがないので便秘薬をと相談に見えました。ところが以前の容貌は見る影も無く、あれほど頑健にみえた体格もかなり痩せ、顔色は青ざめ、口も十分呂律が回りません。どうもただ事ではないのです。そこで、是非病院へいって検査を受けるよう嫌がるのを繰り返し奨め、検査を受けてからでないと漢方薬は差し上げられませんといってお帰りいただきました。
ところがこのご婦人は、入院され一ヶ月経つか経たないかで、一昨日亡くなられたと訃報を耳にしてしまいました。あれほど可愛がっていた結婚前の一人娘を残し、どんなに無念だったことでしょう。
人の命の儚さ、無常をつくづく感じ、落ち込んでいます。
合掌
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