射干麻黄湯

「咳して上気、喉中水鶏聲なるは、射干麻黄湯之を主る。」

 按ずるに咳して上気は咳して気上りて衝逆する也。甘草乾姜湯は咳せずして涎沫を吐するに用ゆ。此れ肺痿にあらず、肺冷とするなり。又射干麻黄湯は咳して涎沫を吐せざるに用ゆるなり此れ亦肺痿に非ず、肺冷とす。此方も倶に肺中の冷とする者に用ゆ。然るに冷飲の外にある者と内にある者の別あり、同じく辛温にして温と散との異なるあり、水鶏聲は蛙のいいにして鳥の事に非ず、咽中蛙の鳴く如くごろごろと鳴る事也。此れ寒冷肺を犯すものなり。外寒内熱を包みて咳喘胸高く喉中水鶏聲の如き者宜く此の湯を用ひて外寒を散ずべし。麻黄半夏細辛等以て表に在る風寒を散ず、射干以て胸中の結熱を散ず、半夏痰を豁かにし以て喘を定む。紫苑五味子款冬花等肺を潤し嗽を止むるもの也。故に寒邪肺を犯して喘咳甚しき者に此方を主とす。

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