桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蛎湯

「傷寒、脈浮、醫火を以て之を迫劫(きょう)すれば、亡陽し、必ず驚狂す、起臥安からざる者、桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蛎湯之を主る。」

 按ずるに傷寒脉浮なるに醫桂枝麻黄の類を用ひず火を以て此れを劫かす故に火邪に因て神明散乱して驚狂起臥安からざるなり、火と云ふは火鉢盧などにて温めて汗を出す類なり、此れに因て気上逆しふらふらとして甚しき時はびくびくとして驚癇の如く起臥安からざるなり、或は常に熱湯に入り或は火の強き炬燵などに大に気上り眩暈をなし、気を取り失ひなどするもの同く此湯を用ひて効あり。
 此方、桂枝湯の方内に於て芍薬を去るものは芍薬陰性にして遅滞す、迅に陽位に達せしめて急を救はん事を欲する故に是を去るもの也。蜀漆気味寒苦、寒は能く熱に勝ち苦はよく逆を降し火邪を退く、竜骨牡蛎神気を収めて火逆驚動を治むるなり。

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