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漢方薬が初めて保険に収載されてはや30年になります。 現在では、病院や医院で漢方薬を処方して貰えるということは周知の事実ですが、 しかし、現実はどうでしょう。 保険に収載されたといいましても、その適応は決して漢方的ではありません。 例をあげて詳しく説明しますと、 たとえば漢方的には、「柴胡桂枝乾姜湯」は 柴胡桂枝乾姜湯の証(体質や症状)が あれば、どんな病気にも用いることができます。 便宜的に柴胡桂枝乾姜湯の証に包含される西洋医学的病名をあげてみますと 諸熱性病(感冒・肺結核・肋膜炎・瘰癧・気管支炎・肺炎)、肺壊疽、廱疽、痔瘻、マラリア、肝炎、黄疸、胆嚢炎、胆石症、胃酸過多症、胃潰瘍、胃下垂症、慢性肝炎、結核性腹膜炎、神経衰弱、不眠症、ノイローゼ、不安神経症、精神病・精神分裂症、血の道症、更年期障害、自律神経失調症、心悸亢進症、心臓神経症、心臓弁膜症、不整脈、脚気、腎炎、腎盂炎、夜尿症、中耳炎、外耳炎、耳下腺炎、アレルギー性鼻炎、眼精疲労(疲れ目)、仮性近視、歯槽膿漏、蓄膿症、リンパ腺炎、るいれき、どもり、湿疹、蕁麻疹、肝斑、頭瘡、紫斑病、産褥熱、胸膜炎、糖尿病、バセドー氏病、気管支喘息、小児虚弱体質、月経不順、痔瘻、多汗症、頸筋のこり、肩こり、耳鳴り、眩暈 などを挙げることができますが、 この他の病気にも証さえ適えば、用いることができます。 というよりも、その病気は柴胡桂枝乾姜湯でしか治らない病気ということになります。 ところが、柴胡桂枝乾姜湯の各薬方の「効能又は効果」をみてみますと ツムラ テイコク 本草 剤盛堂 太虎精堂 の各薬方は 「体力が弱く、冷え症、貧血気味で、動悸、息切れがあり、神経過敏のものの次の諸症:更年期障害、血の道症、不眠症、神経症」 となっておりますし、 また、小太郎では 「衰弱して血色悪く、微熱、頭汗、盗汗、胸内苦悶、疲労けん怠感、食欲不振などがあり、胸部あるいは臍部周辺に動悸を自覚し、神経衰弱気味で、不眠、軟便の傾向があって、尿量減少し、口内がかわいて空咳などがあるもの。感冒、心臓衰弱、胸部疾患・肝臓病などの消耗性疾患の体力増強、貧血症、神経衰弱、不眠症、更年期神経症。」 となっています。 また「小柴胡湯」は、便宜的にその証に包含される病名を挙げてみますと @ 諸熱性病;感冒・流感・チフス・麻疹・マラリア等(往来寒熱、口苦、食欲不振、咳嗽、胸脇苦満、舌白苔)、 A 胸部疾患;気管支炎・気管支喘息・肺炎・肺気腫・膿胸・肺結核・肋膜炎・胸膜炎・肋間神経痛・帯状匍行疹(発熱、無熱、咳痰、胸痛、食欲不振、胸脇苦満)、 B 横隔膜下の肝胆胃部の疾患;肝炎・胆嚢炎・胆石症・黄疸・肝機能障害・胃炎・胃酸過多症・胃酸欠乏症・胃潰瘍・胃痛・舌なめずり・嘔吐・便秘・食欲不振、糖尿病、 C 頭頸項部疾患;円形脱毛症(禿頭症)・頸部リンパ腺炎・結核性リンパ腺炎・扁桃炎・咽喉炎・中耳炎・乳様突起炎・耳下腺炎・乳腺炎・肩こり・化膿症、 D 腎炎・腎臓結石・腎盂炎、 E 男子の睾丸炎・副睾丸炎・婦人附属器炎・産褥熱・血の道症、 F 皮膚病;陰部掻痒症・いんきん・凍傷・ヘルペス・頭汗、 G 神経性疾患;神経質・神経性不食病・神経衰弱・ノイローゼ・癇癪持ち・唖・どもり・不眠症・癲癇・精神分裂症・ひきつけ・乗り物酔い、 などを挙げることができますし、この他にも証さえ適えば用いることができます。 ところが各製薬メーカーの各薬方の「効能又は効果」は、 太虎精堂 テイコク 本草 松浦 阪本 JPS クラシエ(カネボウ) 東洋薬行 の場合、 I. はきけ、食欲不振、胃炎、胃腸虚弱、疲労感及び風邪の後期の症状 II. 慢性肝炎における肝機能障害の改善 となっておりますし、 ツムラの小柴胡湯では 1、体力中等度で上腹部がはって苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱、悪心などのあるものの次の諸症:諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、感冒、胸膜炎・肺結核などの結核性諸疾患の補助療法、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全 2、慢性肝炎における肝機能障害の改善 となっておりますし、 また、小太郎の場合は I.胸や脇腹が重苦しく、疲れやすくて微熱があったり熱感と寒感が交互にあったりして、食欲少なく、時に舌苔があり、悪心、嘔吐、咳嗽を伴うなどの症状があるもの。感冒、気管支炎、気管支喘息、肋膜炎、胃腸病、胸部疾患、腎臓病、貧血症、腺病質。 II.慢性肝炎における肝機能障害の改善 となっています。 他の薬方につきましても同様です。 実際に病院や医院で漢方を処方してもらう場合、 それそれのメーカーのその処方の「効能又は効果」に記載されている病気には、保険が適用されますが、 それ以外の場合は、保険はきかず、自己負担となります。
現状は、漢方薬は使用範囲が非常に限定され、本来の漢方的使用には程遠い状態にあります。 こういうわけで、漢方薬は病院や医院の薬品棚で また病院や医院は漢方薬の「効能又は効果」を十分比較検討されメーカーを選択すべきだと思います。 病院の漢方薬検索の各メーカーの漢方処方からその添付文書にリンクしていますので、 「効能又は効果」を調べると保険で治療できるかどうかがわかります。
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