胃アトニ−症・胃下垂症
 胃は通常骨盤より上に位置しているのですが、それが骨盤より下にあるのを胃下垂と呼んでいます。日本人に多く見られますが、それ自体、何の障害もなければ病気とはみなされません。しかし、胃下垂の人の胃壁の筋肉は緩んで無力化しているため、消化力が低下していることがよく見られます。これを胃アトニーと呼んでいます。
 胃下垂や胃アトニーは、やせ型の人や若い女性に多くみられ、胃の筋肉だけでなく、骨格筋も軟弱です。
 胃アトニーの症状としては、食欲不振、胃の膨満感、吐き気、疲労感などがよく見られ、胃部に、ポチャポチャ水の音がする場合も多く見られます(漢方で胃部振水音とか胃内停水という)。また体力も弱いため、物事に消極的になり、くよくよと神経質になり、社会生活上にも悪い影響を及ぼしかねません。
 とはいっても、西洋医学的な治療ではそれぞれの症状に対する対症療法が主体となるため、十分な効果が期待できません。一方、漢方では、胃下垂や胃アトニーを体質的なものとして、大建中湯、人参湯、六君子湯、補中益気湯などの薬方を用いて体質を改善し、全体的な機能を回復・強化することを目指します。

人参湯……………………胃腸弱、みずおちの痞え、少しで満腹、貧血、多尿、胃痛、吐き気、下痢、喜唾、
桂枝人参湯………………人参湯証で、動悸、頭痛などを伴うもの、
六君子湯…………………胃腸の働きが衰え、腹軟弱、食欲無く少しでお腹が張って眠くなり、手足がだるくて疲れやすい、頭重、時に眩暈、腹鳴、無気力体質、(気鬱・食後眠い)
茯苓飲……………………みぞおちに痞えや膨満感、胃内停水、胸やけ、げっぷ、小便不利、
大建中湯…………………胃腸が衰え、腹軟弱、腹と手足が冷え、疲れやすい、腹痛、蠕動、無気力体質。
半夏白朮天麻湯…………胃腸弱、眩暈、頭痛、肩こり、背中が強ばる、手足冷え、食後だるさや眠気。
補中益気湯………………脈腹軟弱、手足がだるい、疲れやすい、目や声に力がない、口中白沫。
真武湯……………………生来の胃弱、血色悪い、手足冷え、胃内停水、小便不利、腹痛、下痢、
茯苓澤瀉湯………………心下痞、胃痛、胃もたれ、悪心嘔吐、口渇、頭痛、眩暈、動悸、胃内停水
苓桂朮甘湯………………のぼせ、頭痛、立ちくらみ、眩暈、動悸、息ぎれ、尿量減少、足冷、
平胃散……………………みぞおちが痞え、腹鳴、胃内停水、軽症の胃アトニー。
柴胡桂枝湯………………食欲不振、食後手足だるく眠い、口渇、口苦、悪心、白苔、 (食後眠い)
半夏瀉心湯………………みずおちの痞え、腹が張る、胸やけ、噫気、便秘と下痢が交互、(腹鳴)
桂枝加芍薬湯……………腹痛、下痢(便秘)、腹満、肩こり、血色すぐれない、  (胃アトニー)
安中散……………………便秘と下痢が交互、下腹部が張る、
半夏厚朴湯………………動悸・眩暈、頭重、気欝、不眠、腹腔大、胃部膨満、(経産婦、人口流産後)
延年半夏湯………………左肩背のこり、左乳房下の痛み、胸やけ、足冷、気鬱、(気鬱、胃神経症)
呉茱萸湯…………………食欲不振、胃もたれ、心下痞、嘔吐、頭痛、手足冷え劇、
乾姜人参半夏丸…………嘔吐が激しく、どうにも止まらず、食欲もない、腹陥没、心下痞鞭、

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